目まぐるしく変わる天候に左右されるレースウィークは予選中にも影響を及ぼした。生乾きのサーキットの状態から予選開始。各車レインタイヤを履いてのアタックを始めレコードラインだけは辛うじて乾き始めるという1時間の予選時間の半分を過ぎようとする頃,ケーシーストーナーがレインタイヤでアタックし暫定トップを確立した直後からサーキットに激しく雨が落ちた。クリス・バーミューレンもちょうど同じ頃にアタックをしていてひっそりと暫定2位となっていた。予選のお天道様はストーナーに微笑んだようだ。
雨は十分後にやんだもののコースコンディションはさほど回復しなかった。残り時間少なくなってから悪条件の中でのアタックが行なわれたが,3番グリッドを辛うじてロッシ獲得したのが精一杯。地元イタリアライダーだけあるし,過去5戦連続優勝しているサーキットだけあって目をつぶっても走れるサーキットなのだろう。決してロッシが好条件だった訳ではない。予選トップ10圏内でロッシと同じMIを履いているのは8番グリッドのペドロサだけだ。その次が12番手の中野選手。中野選手健闘してます!
といいた感じで決勝スタート。
決勝はドライコンディション。スーパーライテクのロッシはスタートで出遅れたもののオープニングラップ7番手でトップブループには加わる。オープニングラップのホームストレートでは早くもDUCATIパワーが炸裂し始める。DUCATIワークスのストーナーとカピロッシのワンツー体制を築いてしまった。イタリアGPはこのままつまらなく終わってしまうのか?と思っていたが今回のレースの主役はDUCATIではなかった。
ハード目のタイヤを選択していたロッシが徐々にポジションを挙げてゆく。ロッシのバイクはストレートは決して速くない。ロッシのスーパーライテクと地元ホームコースというアドバンテージで誰も仕掛けない下り逆バンク風バンピーなブラインド高速コーナーとかで先行くライダーたちを一人一人かわしてゆく。やっぱロッシスゲー
ワンツー体制だったDUCATIはどうやらムジェロサーキットとBSタイヤの相性が良くなかったらしく徐々に後続に飲まれてゆく,6周目にはペドロサがトップを奪う。このときロッシは3番手。ロッシは次の週ストーナーを抜き,ペドロサに背後につく。そして9周目ペドロサを抜き去りトップに立つ。
いつものロッシであればここでハードプッシュを掛けファーステスト更新し続け後続車の戦意を喪失させるというのがやり口なのだが,ファーステストも出なければペドロサも一向に離れない。というかホームストレートではロッシが一瞬抜けれ,1コーナーのハードブレーキで抜き返すという全く持って余裕がない展開。しかしロッシはもの凄い集中力で淡々と責めつづける。責めつづける事10周。ペドロサとの差がやっと1.0秒を超える。ペドロサの根負けという感じだろうか?
ロッシは地元GP6連覇という偉業をなし得た。優勝ロッシ,2番ペドロサ,3番アレックスバロス,4番ストーナーという結果になった。レース終盤同じDUCATIサテライトのバロスがDUCATIワークスのストーナーを食うという光景も印象的だった。もしかするとペドロサは体力が必要とされるムジェロサーキットでは小柄な体が災いし,体力が持たなかったのかもしれない。21才ストーナーは36才バロスの勝ちたいという気持ちに負けたのではないかと邪推した。
ロッシが優勝インタビューで勝ったのはみんなのおかげと言っていたが一理あるかと思う。マシンが絶対的に優利な状況ではないと思われる。それは同じワークスライダーのコーリンエドワードズが12位という結果をみれば分かるだろう。
中野選手は13位。MI勢という視点でみると1位ロッシ,2位ペドロサ,10位ヘイデン,12位エドワーズに続く順位。サテライトチームとしてはトップ。前回のフランスGPのあと居残りテストもせずにエドワーズの後につけたというのは,中野選手のライテクの賜物かも知れない。
次はペドロサとトニー・エイリアスの地元スペイン。モータースポーツの一番熱い国での開催だ。速くもペドロサは勝利宣言をしている。さぁどうなる?昨年のような大クラッシュだけにはならないよう祈ろう。
追伸:
G+を眺めていたら解説の元GPライダー元SUZUKI開発ライダーの青木宣篤氏が幾つか気になる情報を口走った。コニミノチーム内はゴタゴタしていると周辺では話されているという発言と,ヘイデン不調の理由は今のマシンサイズがヘイデンに合っていないからだということだ。前者についてはフランスGP後の居残りテストしていないあたりから推して知るべしだろう。ヘイデンについての監督がペドロサの保護者!?であるプーチンなのでさもありなん。もうひとつ玉田選手は良くやっていると話していた。噂によるとDLは3周しか持たないらしいが,確かに2週目に自己ベストを出している。タイムは中野選手よりも良い。小排気量では絶対的な実績があるのDLだが最高峰クラスではJSBのノリックを含めまだまだ発展途上段階なのだろう。
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