オランダGP決勝を語る前に気になるトピックをふたつ。
http://www.youtube.com/watch?v=KwSEZCeK0qU
ひとつ目はロッシ。公式練習にて転倒し右手小指付け根と左足くるぶしにヒビを入れてしまったのだ。右手はライダーにとってアクセルとフロントブレーキをコントロールするための重要な役割を果たす。しかも(今シーズン初戦リアブレーキなしでマシンを入賞に導いたことから)ゴットハンドと呼ばれるロッシの右手が自由に効かないのは致命的。ロッシは今シーズンポイント争いで低迷しているのもあり怪我を押しての出場となった。公式予選では決勝進出のためタイムを残すためだけに走ったように思われる。ピットでのグローブをつける際,右手グローブをスタッフに助けられながらはめていた光景が痛々しかった。ちょこっと走ったら速攻でビット裏に消えていった。そんなわけでロッシはMotoGP人生初の最後尾18位からのスタートとなった。
ふたつ目は中野選手。BSの予選用スペシャルタイヤのおかげフロントローが定着しつつある。今回も期待を裏切らず予選2番手という結果になった。BSライダーとしてはホッパーにも抜かれず最高ポジション。ポールポジションはコーリンエドワーズ。言わずも知れたYAMAHA M1にMIというパッケージ。YAMAHAにとってはエースロッシが調子を崩しているという状況においては最高の予選結果。
今回は一同スムースにスタート。ほっと安心。エドワーズがトップに立ちレースをリードする。その後にホッパー,中野選手が続く形でレースは進行するが,その後からヘイデンが追い上げ中野,ホッパーを抜き,9週目にはエドワーズ,ヘイデンのワンツー体制で後続を引き離しランデブー走行開始。ヘイデンはわざと抜かない作戦のようだ。レースが動いたのはラスト2周目。高速コーナ入り口のブレーキ勝負でヘイデンが仕掛けエドワーズを抜く,エドワーズは止まらずコースアウト。
http://www.youtube.com/watch?v=08himJBDNRE
エドワーズはすぐにコースに復帰するがこれで勝負は決まったかに思われた。現にラスト1周の計測ではヘイデンとエドワーズの差は1.006秒となっている。ところがエドワーズここから怒濤の追い上げ(途中バックマーカーで差が詰まったというのもあるが)コース終盤でヘイデンをパス。食い下がるヘイデン。そして最終シケインに両者突っ込む。アメリカンライダーのガチンコバトル。シケインでのド突っ込み競争。両者とも止まれない・曲がれない速度でコーナー進入。アウト側ヘイデンはスローダウンで済むが,イン側エドワーズは切り返し(?)に失敗。バイクから投げ出される。先にコースに戻ったヘイデンが優勝という結果になった。
ラスト二周を振り返ると,最初にヘイデンにブレーキ競争で負けた時点でエドワーズのタイヤは既に終わっていたと邪推する。まぁゼブラに乗り上げたので止まらなかったという見方も出来るが,タイヤが終わってなければゼブラに乗らなかったともいえる。さらに語るとエドワーズはMIソフト,ヘイデンはMIミドルを選択しているので一般的に終盤に有利なのは固いミドルを選択している方,つまりヘイデンに分がある。そんな伏線がある中,最終ラップ最終コーナーでのブレーキ競争。アメリカンのガッツでも止まらないものは止まらないということだったのかもしれない。
エドワーズの予期せぬ転倒により漁父の利を得たのは中野選手。3位だった予定が2位になってしまった。中野選手今シーズン初の表彰台。KAWASAKIにとってはアッセンサーキットは大改修のおかげ長い直線がなくなりカワサキのデメリットを隠せるサーキットであったのでうまく結果が出せたのだと思う。
最後尾スタートしたロッシはやっぱ天才だ。痛んだ体なのに着々と順位を上げ8位フィニッシュとなった。ただしポイントランキングに注目すると,今回の結果でロッシの自力優勝の目は消えた。つまり次戦からロッシが1位を取り続けても,ヘイデンが2位を取り続ければヘイデンが年間チャンピオンとなる。
大波乱のMotoGPチャンピオンシップ,次戦のイギリスGPも目が離せない。
いやー面白い!
真矢もがんばったようだし、ロッシもまだまだまだ目は残ってますよ。
投稿情報: ぜ | 2006/06/27 13:15
失礼,優勝の目が消えたというのはウソで,*自力*優勝の目が消えたということでした。本文の方は直しました。
次戦のイギリスGPはストップ&ゴーなレイアウトだけどストレートは564mと短めなので中野選手にも勝機はあるね。ストップ&ゴーといえば直線番長玉田選手にも期待できるかも。
投稿情報: しげちか | 2006/06/27 18:22