KTM 690 ENDURO試乗

先般のBOADVにてKTM 690 ENDUROをたっぷり試乗する機会に恵まれたのでBMW G650 Xchallengeオーナーからみた視点でインプレしてみる。Xchallengeが出たのが2007年春。それから遅れること半年の2007年秋に690 ENDUROが発売された。この2台は排気量650ccエンデューロマシンというくくりでは事実上のライバル関係にある。発売時期だけみると半年遅れのKTMの方が後だしジャンケンな分，有利ではある。Xchallengeオーナーの俺もご多分に漏れず690 ENDURO発売は知っていたし興味もあった。というかぶっちゃけジェラシーだ。Xchalenngeが出ていなかったら690 ENDUROを買っていたと断言していい程だ。果たして後だしジャンケンは本当に有利なのかこの身を使って体験してみた。
さてKTM 690 ENDUROに関する小ネタを紹介。690と書いてあるが排気量は690ではなく652cc。なぜ690なのかは謎。あと伝統のLC4エンジンはLiquid Cooled 4-strokeつまり水冷4ストの略だって。今まで知らなかったよ。
KTM 690 ENDURO
まずは股がってみた感想。軽いと瞬間的に感じた。軽さは明らかでカタログから値を拾うとXchallengeの車両重量（満タン，走行可能状態）159kgに対し690 ENDUROは半乾燥重量（燃料含まず）約138.5kgと条件は違うものの10kg程の重量の差がある。足付きの良さも軽さを感じる要因かもしれない。試乗車のセッティングがどうなっていたかは分からないがイニシャルがすごく柔く1Gで俺は両足べた付きとなった。クラッチの軽さにも魅了された。最近のKTMはMAGURAの油圧クラッチを採用しているのでどんなときでも同じ感覚でクラッチ操作ができるという。十分軽いので人差し指一本掛けでのクラッチ操作もイケそうだった。
セルを回しエンジンをかけギアを1速に入れMAGURA油圧クラッチをミートさせウイリー松浦モトクロスコースBへマシンを進めた。
ありがたいことに結局2回にわけ10周以上コースを試走することができた。利点・欠点をできるかぎり簡潔にインプレしてみる。

利点
軽い：Xchallengeよりも車重が軽いだけでなく，マスの集中化も徹底しているようで兎に角軽く感じる。重心はXchallengeに比べるとステップに近い位置にあると思った。まるで250ccにでも乗っている感覚にさえなる。多少オーバースピードでコーナーに進入しマシンの体制が乱れても足を出して十分カバーできるという感じである。
ライディングポジションの自由度：Xchallengeに乗っているともう少し前に乗ってマシンコントロールしたいという時があるのだがダミータンク（エアクリーナーボックス）が邪魔してそうはさせてくれない。690 ENDUROはシートがハンドル直前まで伸びていているのでコレデモカーというくらいのとてつもない前乗りができる。そしてシート形状が後までフラットなので引っかかりも無く一気に後にまで移動することができる。このライディングポジションの自由度は690 ENDUROの戦闘能力・走破力を引き上げているように感じた。もしかするといわゆる2スト乗りができるマシンなのかもしれない。
フロントサス：ホワイトパワーのフロントサスはしなやかでどこまでも踏ん張る懐の深いサスだと思った。多少の失敗ジャンプはフロントサスが何事も無かったように吸収してくれる。調子に乗ってジャックナイフしようとしたらフロントサスがしなやかに受け止め何事も無かったように止まってしまった。

欠点

パワーを感じない：Xchallengeは5速，690 Enduroは6速というギアの仕様なので690 Enduroはかなりクロスしているミッションであると想像するのだがギアがあっていると思うのにアクセル開けてもXchallengeより加速しなかった。パワーバンドどこなの？って感じすらあった。へたれライダーにつき高回転キープするような乗り方なんてできないのでパワーの薄い低回転だけでそんな判断をしている可能性はあるが，構造上低回転が薄いDOHCのXchallengeよりも低回転が太いハズのOHCの690 ENDUROの方がパワーもトルクも薄く感じだ。
リアサス暴れる：690 ENDUROには前後ともに世界の一流品ホワイトパワーのサスペンションが入っている。フロントはイイ感じだったが，リアの挙動は安っぽかった。ジャンプの後も落ち着き無いし，ギャップの中も乱れる。車重が軽いための副作用なのか？もっともXchallengeのまったりもっさりエアサスに慣れてしまっているのが元凶という見方もあるのだが，Xchallengeの方がサスの挙動はしなやかであるように思えた。
KTM 690 ENDURO
身勝手インプレをまとめると，軽さとライディングポジションの自由度と油圧クラッチには魅力を感じだが，後はぐっとこなかった。もしかするとショート目のスプロケに換えると一気に印象が変わるのかも知れないが，試乗する前の妄想ではXchallengeの完敗と思っていただけに690 ENDUROの想定以下の仕上がりにちょっとガックリきた。と同時にXchallengeでもいけるじゃんと確信を持った。あまりにもパワー差を感じたので，昨今の排ガス規制に対応するため690 ENDUROはデチューンされているのかもと邪推もしたが，試乗してみて俺のフィーリングにあっているのはXchallengeであると再確認できたのでちょbit嬉しかった。