レース
昨年はスタート位置がどん尻で無駄足を使い撃沈した思いが強かったので,前方でスタートできるよう招集前から場所取りから参加した。スタート直前時点で前から10列目までには居座れたと思う。400人以上が走るレースで前から50番目くらいだから前方でのスタートは確保できた。ただしスタートの場所を優先したのでウォームアップは一切なし。スタートダッシュが苦手な自分としては一抹の不安を抱きながらスタートラインに並んでいた。
7:45定刻通りスタート。先導がつくローリングスタートだったので,早々に千切れる心配は無用だった。先導が外れ徐々にペースがあがるが急激なスピードアップはなくちょっと安心。逆に安心できないのが落車。落車リスクを避けるため出来る限り集団前方に位置取りするが,スタートして1時間程は一瞬足りとも気が抜けない状態。なんでもないところでも落車があったり,落車がなくても「ブレーキッ!」という声とともに集団の速度が落ち,直後にスピードアップが繰り返される光景が頻繁に続いたた。車線が減ったり,直角カーブでは言わずもがなである。ドリンクボトルに手を伸ばせない程の気の抜けないが続いた。
1時間経過する頃から,集団の動きは落ち着いたが,逆に天気は落ち着かなくなった。雨が次第に強くなるとともに風も強くなってきた。気を抜くと中切れする程の破壊力だ。集団前方に居座っていたつもりだったが,左右から被せられているうちに集団中盤から後方になっていた。そんな中で大きい落車が発生。道路には倒れた自転車やライダーで通行不能となり左右の歩道でも落車,さらにその外側のダートを徐行しコースに復帰するということがあった。
コースに復帰してからは全力で踏むものの強烈な向かい風で遥か前方にみえる先頭集団にはまるで追いつかない。脚も心肺も限界を感じ「もはやこれまでかッ!」と同時に「ついに一人旅だ」と悟り始めたあたりで,追い上げてきた大きめの集団に救ってもらった。集団後ろに頑張ってへばりついて先頭集団まで辛うじて復帰出来た。ラッキー!復帰出来た先頭集団は思いのほかゆっくりな気がしたが,この分だと普久川ダムへ先頭集団とともに入れるということに,昨年より成長した自分を見出すという大いなる安堵という勘違いをしつつ,固形状の補給食を口に入れるものの既に噛むの大変なので来年はジェルで十分と思っていたのだった。
予想通り普久川ダムに先頭集団と入る。次第に勾配がついてくる。そして勾配とともに集団の速度があがる。勾配は5%あるのに集団のスピードは時速30キロからさらに加速する。後ろからチームメンバーの山の神が「相川さん,行くぞ〜!」と声かけてくれるとともに颯爽と抜いていく。「お〜ッ!」と答え,山の神に背後につく。確かにこの速度ならドラフティング効くなどと実感しながら走る。ところが山の神の加速は止まらない。富士ヒル年代別クラス入賞者の脚はハンパないなどと考える余地すらなかった。頑張ってついていたが次第に息があがり徐々に距離があきドラフティングから外れ,差が開き千切れてしまった。集団からも千切れてついに一人旅。こぼれ落ちたライダー達と地味なバトルしながら普久川KOMポイントを過ぎ,下りに入る。が,ここで気は抜かない。少し下ったらまた上りになって,ドリンクの補給ポイントになるからだ。昨年はこの時点でドリンクボトル2本を飲み干していたが今回はちょうど1本飲み切る程度だった。昨年はドリンク補給ポイントで水を1本とり頭から被り,スポーツドリンクをとったのだが,スポーツドリンクはボトルに半分程度しか入っていなかったのでその後ドリンク枯渇し喉が乾き苦しかった経験から,スポーツドリンクを2本とって1本はすぐに飲み干し,もう1本を自転車にセットした。ボトルにスポーツドリンクは半分程度しか入っていなかったが想定内なので焦らずに済んだ。液体補給食を多めに持ったのは補給失敗したときの保険でもあったからだ。
下りは重い体重(とホイールバランスとDURA-ACEホイールベアリングのG3級セラミック化)のお陰で人様より加速するから登りで抜かれたライダーに追いつき抜くことができた。ただし完全ウェットだしブラインドコーナーだったりする。でもここはリスク承知で攻めなければますます千切れてしまうので攻めた。攻めすぎてヒヤリ体験もしたが事なきを得た。Stravaによると「TdO KOMからの下り」セグメントにて雨なのに昨年度比16秒削ることができていた。もしかすると雨の下りを攻めることができたのはフロントにグリップ優先しコンチネンタルCOMPETITIONを履いていたからかもしれない。ちなみにリアは耐パンク性能を優先しコンチネンタルGP4000を履いていた。
普久川を過ぎたあたりで,千切れた者同士の5〜6人のパックが自然形成しローテしながら走る。俺は登りで遅れ,下りで挽回し,平坦でひく感じ。登りで千切れたくないので遅れながらも普久川登りよりも頑張る感じ。時々脚がつったのでその都度サプリを摂る。楽ではないが一人旅よりずっと速いし,ローテが機能していたのでこの調子で2回目の普久川に挑むべく,千切れながらも目一杯攻めていた。
市民レース100kmのスタート地点である奥関門にて,道路を塞ぐように係員が赤い大きな旗を振っている。時計をみると,予め定められていた関門時間から3分遅れていた。タイムアウト食らった。昨年よりも手前で捕まった自分に情けなさを感じつつレース終了と相成った。
なんかレースの厳しさばかりが前面に出てしまいビビる方がいるかもしれない。確かにツールドおきなわは日本一過酷だと思う。でも日本一美しいレースだと思う。ホスピタリティーも申し分ない。だから俺みたいに完走もできないヒヨッコでもまた挑戦したいと心の底から思わせてくれる。アマチュアサイクリストの甲子園と比喩されるツールドおきなわだけど,甲子園球児に比べたらよっぽどぬるま湯だよ。だって地方予選もなくいきなり本戦にクリックひとつで日本一のレースにエントリーできるんだからね。脚力を試したい方は絶対挑戦すべきレースだと思う。
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